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『東大ボカロ論』はいかに文化階級闘争を仕掛けているか

著者によって本書初頭に示されるように、鮎川ぱて『東大ボカロ論』は文化階級闘争を強く意識している。 本項では、鮎川が本書を通して文化階級闘争をどのように仕掛けているかを分析する。 東京大学「ボーカロイド音楽論」講義作者:鮎川 ぱて文藝春秋Amazon …

『[クリティカル・ワード]ポピュラー音楽』のキーワード集

クリティカル・ワード ポピュラー音楽 〈聴く〉を広げる・更新する作者:永冨真梨,忠聡太,日高良祐,有國明弘,石川ルジラット,大嶌徹,大尾侑子,尾鼻崇,大和田俊之,葛西周,加藤賢,上岡磨奈,川本聡胤,金悠進,源河亨,篠田ミル,ジョンソン・エイドリエン・レネー,…

新たな知識人

ディスタンクシオン〈普及版〉II 〔社会的判断力批判〕 (ブルデュー・ライブラリー)作者:ピエール・ブルデュー藤原書店Amazon 学問的知識を駆使するなどして、正統文化以前の文化に情熱を注ぐ小市民を、ピエール・ブルデューは《新たな知識人》と呼んだらし…

音MAD/YTPMV研究に楽理は必要か?

ポピュラー音楽の分野でも、P. Tagg らによって楽理の不必要性は喧伝されてきたらしい。 というのも、社会学の上に建設されたポピュラー音楽は、その社会学性によって外在主義的立場を取るからである。 www.academia.edu 前掲論文の著者である川本によれば、…

二次創作界のファンダム理論の難しさ?

二次創作界のファンダム理論の難しさというより、R. Barthes の〈作者の死〉概念であれ、John Fiske の〈解釈共同体〉概念であれ、Stuart Hall の〈能動的な脱コード化〉概念であれ、Michel de Certeau の〈テクスト密猟〉 概念であれ、Henry Jenkins の〈参…

なぜ文化研究に哲学が必要か

同人誌『アレ vol.1』の「アニメ批評の中心地より」の節にて、シノハラさんが「批評には抽象化=哲学的な思考が必要だ」と述べていた気がする。いや、必要とまでは言ってはいないかもしれない。 しかしどちらにせよ、このことは文化研究にとって一番必要なこ…

note.com を退会したいけどフォロイーの記事を購読しつづけたいあなたに『note2rss』!

フォロイーらの記事の購読を継続しつつ http://note.com から退会するために、RSS フィードコレクションファイル(OPMLファイル)を生成する mix プロジェクトを作った。 github.com note.com とは次の UGC プラットフォームである。 note.com 以下は、レポ…

Binance に日本円を入金する際には振込人名義の変更を忘れないようにしよう

注意 この記事は、令和6(2024)年2月2日時点の日本国内のとあるBinanceユーザの例に関するものです。 まとめ Binance に日本円を入金する際には振込人名義の変更を忘れないようにしよう。 とはいえ、この記事を読んでいる人のほとんどは振込人名義の変更を…

音MADのバーチャートレース

数ヶ月前に作った音MADのタグに関するバーチャートレースをVimeoに上げた。 2007年4月から2023年7月までのニコニコ動画における音MADのタグの棒グラフレース。 制作には以下のPythonライブラリを使用した。 github.com しかし、音MADの歴史は血塗られている…

〈映像素〉と Nelson Goodman の稠密性概念の対立

記号論の文脈で、〈映像素(videme)〉という概念がある。 Umberto Eco が用いていた映画記号論上の概念で、たとえば映像に映っている演者の手中にある烟草とか、人の顔とか、そういったものを指す語である。 つまり、映画という媒体における記号素となる概…

MML と音色の自由

音色の自由――これこそが具体音楽の思想的基盤なのである。この視座から MML(Music Macro Language)のアーキテクチャ的暴力性を指摘することは容易いであろう。MML の音色は常に工学者=アーキテクチャの設計者の管理の基にある。MML は432種を超える音色を…

メタデータ API 緩衝層を作ったことで Go の非関数型言語性を知った

動機 私が利用している国立国会図書館サーチのメタデータは、国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述(DC-NDL)に準拠している。 今回は書籍のページ数の情報が必要になったため、DC-NDL の該当するフィールドを調べてみることにした。 ndlsearch.ndl.go.…

阿部共実『大好きが虫はタダシくんの』

言わずと知れた名作である。 感想文は幾度となく数多の無名の著者によって書かれたであろうが、同じく無名である私も残しておきたいと思う。 『潮が舞い子が舞い』が陽の青春群像劇であるならば、本作や『空が灰色だから』、『ちーちゃんはちょっと足りない…

高校物理の力学と正射影作用素

高校物理の力学分野で頻出する斜面平行方向とか斜面垂直方向とかが、線形代数の正射影作用素の一部だったことにいまさら気付いた。 正射影作用素は次のように定義される。 つまり、 次元に射影を拡張したものである。 mathtod.online 高校では 2 次元空間し…

放送大学の教科書『自然言語処理』の改訂版と三訂版の比較

はじめに 本項では、放送大学教育振興会出版の黒橋禎夫『自然言語処理』の改訂版(2019年)と三訂版(2023年)を比較する。 自然言語処理の主流であった古典的手法が、ニューラルネットワーク的手法に圧倒されていくさまを見ることができる。 前著では比較的…

ブルーバックス『プログラミング20言語習得法』のサンプルコードをまとめた

講談社ブルーバックスの『プログラミング20言語習得法』(小林健一郎 2014年)に掲載されているサンプルコードをまとめたレポジトリを GitHub で公開した。 プログラミング20言語習得法 (ブルーバックス)作者:小林健一郎講談社Amazon github.com 今から10…

同時実況シリーズ『メディア・コンテンツ論』

ゲーム実況がありうるなら書籍実況もありうるだろう。 はじめに 2016年6月に上梓された、シリーズ「メディアの未来」第6番の岡本 健・遠藤 英樹 編『メディア・コンテンツ論』を同時実況する。 15本の論考が載せられており、それぞれ多様な話題を扱っている…

『美文書作成入門』よりスリムな『LaTeX超入門』を

はじめに ブルーバックスレーベルの 入門書。 2020年に出版され、また奥村晴彦の『[改訂第7版]2εー美文書作成入門』を参考文献に引いているため単なる競合書籍という訳ではない。 に入門する方には新書である本書を『美文書作成入門』より薦めることがで…

笹原宏之『方言漢字』で日本紀行しよう

はじめに 国語学者の笹原宏之と共に全国の方言漢字を探す随筆。 本書は、2013年に角川書店より刊行された『方言漢字』(角川選書)に加筆し、文庫化したものである。 2020年7月に刊行された。 三省堂書店のウェブサイトに300本ほど連載された『漢字の現在』…

田中久美子『記号と再帰』こそ真の情報記号論だ!

はじめに Semiotics 誌への寄稿論文の編集である田中久美子『記号と再帰』(東京大学出版会)を読んだ。 応用記号論という伝統を墨守した真面目な論である。 石田英敬の情報記号論に失望した人々には受けると思う(計算機科学者ではなく仏文学者がなぜ情報記…

『機械学習入門 ボルツマン機械学習から深層学習まで』と『ベイズ推定入門 モデル選択からベイズ的最適化まで』の語彙

以前オーム社の『機械学習入門 ボルツマン機械学習から深層学習まで』と『ベイズ推定入門 モデル選択からベイズ的最適化まで』を読み、そのときにそれらの書籍に生起する語彙をまとめていた。 本項にはそれを並べる。 なお、語がなにを意味していたかをほと…

佐々木敦の『ニッポンの思想 増補新版』を読んだ!感銘を受けた!#ニッポンの思想 #哲学

はじめに 佐々木敦『ニッポンの思想 増補新版』を読んだ。良かった。 なお本記事のタイトルは、AIタイトルアシスト(ソーシャルメディア向けタイトル)に生成してもらった。 ニッポンの思想 増補新版 (ちくま文庫 さ-54-1)作者:佐々木 敦筑摩書房Amazon 本書…

漢字性は D. M. Armstrong の普遍者理論においていかに説明されうるか

はじめに 倉田剛『現代存在論講義Ⅰ』を今更ながら読み始めた。『現代存在論講義Ⅱ』は読了していたが、別に読み始めた『現代普遍論争1入門』にて「クラス唯名論」なるものがあることを知り、『現代存在論講義Ⅰ』の第五章にクラス唯名論の節があるというので前…

SpotifyのBasic Pitchによる音MADのMIDI音源への変換

Spotify's Audio Intelligence Labが提供する、ニューラルネットワークを用いたAMT(Automatic Music Transcription)のためのPythonライブラリ『Basic Pitch』を利用して、音MADのMIDI音源への変換を試します。 変換を行うシェルスクリプト yt-dlpでYouT…

抽象項目の編集テンプレートの作成 構想草稿

定義 抽象項目とは、間項目的な構文論的同型性および意味論的同型性それ自体を実体的に捉えた概念を指す。 抽象項目テンプレートとは、『テンプレート514』*1のように他の項目のテンプレートとなる、抽象項目の具象的項目を指す。 作業の概要 抽象項目テンプ…

新聞の「〜という批判も噴出しそうだ」という表現について

新聞社が「〜という批判も噴出しそうだ」というような、価値判断を留保した、扇動的とも見える表現を用いることに対する批判がある。この批判をする人にとっては、新聞社が自身の意見を客観的な表現に写すことが欺瞞的に思えるようだ。 ただし私は、この表現…

コンテンツ消費を加速するYouTube ショートの高評価数表示

YouTube ショートがコンテンツ消費のファスト化を誘因するよう設計されていることは、動画の形式が縦長であることや、そのサービス名に含まれる「ショート」という語からも分かる。 これを細かく分析すると、その視聴画面の右中央に表示された高評価数が、視…

辞書の自然主義的誤謬性

辞書は自然主義的誤謬を誘因する。 辞書は、我々の日常における語句や文章の用いられ方を観察することによって記述される、狭義の世界における〈ことばの在り方=有〉の記述の体系である。しかし辞書は「この語はこの意味において用いられねばならない」とい…

『超解読! はじめてのフッサール『現象学の理念』』の〈意識〉の解読

次は、講談社現代新書の竹田青嗣『超解読! はじめてのフッサール『現象学の理念』』からの引用である。 超解読! はじめてのフッサール『現象学の理念』 (講談社現代新書)作者:竹田青嗣講談社Amazon また、「反省された意識」はもはや「反省される以前の意…

クリプキ――哲学的懐疑論による意味の不可能性――読書メモ:『規則と意味のパラドックス(飯田 隆)』

規則と意味のパラドックス (ちくま学芸文庫)作者:隆, 飯田筑摩書房Amazon 本書は、哲学的懐疑論における基礎的な論題である「グルー(grue)の逆説」と「クワス算」から始まる。「グルーの逆説」は、二十世紀の米国の著名な哲学者であるネルソン・グッドマン…

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