1. はじめに 「魔法少女まどか☆マギカ」は、2011 年に放送されたテレビアニメである。本作は、魔法少女というジャンルのアニメーション作品を、新たな視点から描き、従来の概念を覆す斬新な解釈を提示したことで多くのファンを魅了した。本稿では、この作品…
哲学系ジャーナルの論文採択率は「狂気の低さ」であるらしい。 dailynous.com X (旧 Twitter) で誰かが言っていた気がするが、全米哲学協会(American Philosophy Association)が運営しているサイトで、SyntheseやActa Analyticaといった哲学系ジャーナルの…
Intro Oxford A Very Short Introductionシリーズの著者における、女性の割合が増えている*1。このことは、さいきん私が同シリーズの Knowledge や Meaning 、Artificial Intelligence を読んだときに気付いたことだ。この3冊は分析哲学系のVSIとして比較的…
はじめに これは自分が論文をSpringer系のとある雑誌に投稿したときのメモで(査読を通過したとは言っていない)、次回投稿するときに方法を忘れないようにするための記事である。 投稿方法 基本的に論文の原稿はLaTeXで書いているものとする。自分はローカ…
訳者まえがき 本記事は、Timbleton, C., Pronkeldink, S., Brown, G., & Opus, C. (2025). Can Language Models Reason? that Would be Scary, so no. viXra. https://ai.vixra.org/abs/2506.0049 の翻訳である*1。viXraは、招待制のプレプリントサーバであ…
日本の大学・研究業界において、長年議論されていながら改善されない「実績の数え方」。 履歴書の業績欄を埋める際、ジャーナルへの投稿論文(査読付き論文)と並んで記載されるのが、紀要論文、招待論文、寄稿論文です。 しかし、あえて厳しい言葉で言いた…
現代哲学(contemporary philosophy)は、分析哲学に限らず、ニーチェ研究であれ、他の哲学者研究であれ、英語を用いて行われる。英語が実質的なリングア・フランカ(lingua franca)となっているのだ*1。これは記述的事実である。この状態は英語帝国主義的…
自然言語処理における共起頻度ベースのメカニズムでよく採用されるのが「PMI(自己相互情報量、Pointwise Mutual Information)」である。このPMIは、2つの文書や文の間に共起(co-occurence)する単語について、その共起性という情報を保持するものである。…
大規模言語モデル(Large Language Models)とは、OpenAIのChatGPTやGoogle Gemini、AnthropicのClaudeといったTransformerベースの言語処理システムを指す*1。これを哲学するのが、大規模言語モデルの哲学である。Philpapersには「Large Language Models」…
はじめに 哲学を専門としない人が哲学に関心が出てきたときに何を読むとよいだろうか。世には「ブックガイド」と題されている記事はあまたあるけれど、あんまり頼りにならない手引きも少なくない(たとえば 哲学を専門としない人のための哲学入門書ブックガ…
大規模言語モデルもそうだが、機械・深層学習モデル自体が反実在論的な認知的自律者 (https://link.springer.com/article/10.1007/s13347-024-00696-1) であるといえる。したがって、普遍論争に深層学習モデルが寄与する側は、唯名論ということになるだろう…
ベクトル論理(vector logic)について勉強したことを書く。 en.wikipedia.org 私の理解では、ベクトル論理は論理式をベクトルもしくは行列で表現するものである。 なにが嬉しいかと言うと、おそらく論理的作用素(否定子や論理的結合子)の挙動を細かく制御…
図解即戦力 ChatGPTのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書作者:中谷 秀洋技術評論社Amazon 「図解即戦力」シリーズで ChatGPT の教科書を書かれた著者が、本ではお蔵入りとなった「ChatGPT と哲学」と題された章をブログに立項されていた。 shuyo.h…
Gubelmann, R. Large Language Models, Agency, and Why Speech Acts are Beyond Them (For Now) – A Kantian-Cum-Pragmatist Case. Philos. Technol. 37, 32 (2024). https://doi.org/10.1007/s13347-024-00696-1 doi.org 優れた論文だった。 論旨としては…
余弦類似度 は、Pearson の相関係数 の である特別な場合であることは有名だが、それらの表現であるグラフはそれぞれ非常に異なっているように見える。 おそらく我々が見てきた相関係数のグラフは次のようなものだろう。 引用: https://images.app.goo.gl/HV…
影響関数(influence function) は Koh, P. W., & Liang, P. (2017) で定義されている関数である。 ただし、 は損失関数、 はパラメータベクトル、 は 、 は のヘッセ行列である。 であるから、影響関数の 番目に対応する要素 について、次の等式が成立する…
Grindrod, J. Large language models and linguistic intentionality. Synthese 204, 71 (2024). https://doi.org/10.1007/s11229-024-04723-8 doi.org 基本的に表象主義的な立場から大規模言語モデルを見ているらしい。 Notes. 4 Lederman and Mahowald (20…
Heersmink, Richard ; de Rooij, Barend ; Clavel Vázquez, María Jimena & Colombo, Matteo (2024). A phenomenology and epistemology of large language models: transparency, trust, and trustworthiness. Ethics and Information Technology 26 (3):1-…
Moyal-Sharrock, Daniele (2015). Wittgenstein on Forms of Life, Patterns of Life, and Ways of Living. Nordic Wittgenstein Review 4:21-42. philpapers.org 生活形式(Lebensform)についての分析。 Lebensform 概念は、以下の概念と混同されやすい ‘l…
はじめに 鈴木貴之編『人工知能とどうつきあうか――哲学から考える――』(2023年)を読んだ。 本項では、大塚淳による第4章「深層学習後の科学のあり方を考える」について、人間/人工知能という二元論が前提されていることを指摘し、それを批判する。 人工知…
はじめに 応用哲学会 第 16 回 年次研究大会のオンライン大会に参加した。 jacap.org 本項では、発表番号 L1 の山田圭一氏による「ChatGPT とウィトゲンシュタイン―言葉の意味を理解するとはどういうことか?―」に関連して考えたことを述べたいと思う。 予稿…
実は5年前くらいに rails new を叩いており公開は行っていたのだが、このブログでは宣伝をしていなかったので、ここで宣伝したいと思う。 arealapp.com Areal は、音MADやYTPMVで用いられるプロジェクトファイルを共有するためのWebアプリケーションである。…
大学院進学をにらみつつ、情報メディア創成学類を志望している高校生や高専生、高校と高専のどちらに進学しようか悩んでいる中学生のために書いておこうと思う。 なお、本記事の情報は21生(令和3年度入学)のものになるので、将来は変動しているかもしれな…
意味がわかるAI入門 ――自然言語処理をめぐる哲学の挑戦 (筑摩選書 267)作者:次田 瞬筑摩書房Amazon 2023年9月出版の比較的新しい書籍である. 現代言語哲学で主力である真理条件意味論を取り上げて,それを分布意味論(意味の使用説の一種)と比較して…
www.nii.ac.jp 国立情報学研究所の情報学研究データリポジトリにはニコニコデータセットというものがある。 そのダウンロードページには 0001.jsonl 、0002.jsonl…… 0999.json といったようにJSONLファイルが連番で掲載されている。 一つひとつの動画に対応…
museme ポピュラー音楽学者 Philip Tagg により提唱された概念であり、museme = music + phoneme という造語で、音楽における書記素(phoneme)を表す。 『[クリティカル・ワード]ポピュラー音楽』の「楽曲」節(川本聡胤著)にて、音楽の間テクスト性を説…
以下は Lucien Dällenbach «Intertexte et autotexte» (Poetique: Revue de Theorie et d'Analyse Litteraires27 (27) p.282)の無断複製。 JSTOR に上がっていなかったので、勝手に載せることにした。 本論文は間テクスト性(intertextualité)を3つに分類…
筑波大学のシラバス(KdB)の科目を検索したり、科目の詳しい情報を得ることができる GPT『KdB』を作成・公開した。 チャット例はこの通り。 すごい。 情報検索(IR)のあり方が変化しつつあることを体感した。 本当は科目の評価情報も追加したく、A+つくば …
テクノコードの誕生 ――コミュニケーション学序説 (ちくま学芸文庫 フ-52-1)作者:ヴィレム・フルッサー筑摩書房Amazon 樹木型言説のどの枝も、たえず新たな情報を生み出し、それが古い情報を〈追い越し〉ているのであって、情報が情報の上に〈溢れ出る〉よう…
筑波大学の情報系学生が取り組むトピックのひとつにブラウザ拡張機能がある。 そのなかでも統一認証システムの自動ログインは重要な問題であった(と思う)。 ここで詳しい歴史を述べることは控えるが、種々の開発者が自動ログイン機能を実装・公開し、大学…