Mastodon

コンテンツ消費を加速するYouTube ショートの高評価数表示

YouTube ショートがコンテンツ消費のファスト化を誘因するよう設計されていることは、動画の形式が縦長であることや、そのサービス名に含まれる「ショート」という語からも分かる。

これを細かく分析すると、その視聴画面の右中央に表示された高評価数が、視聴者に対して、そのコンテンツの消費の対価として差し出す時間や労力と、消費により得られる効用との比較考量を可能にしていることが分かる。すなわち、視聴者はショート動画の開始数秒で、高評価数というバロメータを基準に、当動画によって得られる効用を推量できる。視聴者は、そのコンテンツを全篇視聴することなく、当コンテンツを消費するか否かを、世人により前もって評価された〈消費されるだけの価値〉に従い決定する。

このことは、従来のコンテンツ消費の型、すなわち〈視聴から評価〉という閉じた流れを、〈評価から視聴〉へと逆転させる。ただ、この評価は前者にあっては個人によるものであったのに対し、後者の評価はアウトソーシングされたものである。

このことは、間主観的な口コミの場をその消費サイクルの部分としてもつ、映画などのコンテンツ種と同等かもしれない。ただし、YouTube ショートの〈評価から視聴〉というコンテンツ消費の流れは精々数秒で行われており、その速度は限界まで切り詰められている。映画サイトには厳然として存在する〈評価〉の場と〈視聴〉の場の境が取り払われ、それぞれの場が同画面上で結合している。

この〈評価〉と〈消費〉とを同平面に布置するYouTube ショートのアーキテクチャは、従来のコンテンツ消費の速度を臨界点にまで加速している。