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2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

〈映像素〉と Nelson Goodman の稠密性概念の対立

記号論の文脈で、〈映像素(videme)〉という概念がある。 Umberto Eco が用いていた映画記号論上の概念で、たとえば映像に映っている演者の手中にある烟草とか、人の顔とか、そういったものを指す語である。 つまり、映画という媒体における記号素となる概…

MML と音色の自由

音色の自由――これこそが具体音楽の思想的基盤なのである。この視座から MML(Music Macro Language)のアーキテクチャ的暴力性を指摘することは容易いであろう。MML の音色は常に工学者=アーキテクチャの設計者の管理の基にある。MML は432種を超える音色を…

メタデータ API 緩衝層を作ったことで Go の非関数型言語性を知った

動機 私が利用している国立国会図書館サーチのメタデータは、国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述(DC-NDL)に準拠している。 今回は書籍のページ数の情報が必要になったため、DC-NDL の該当するフィールドを調べてみることにした。 ndlsearch.ndl.go.…

阿部共実『大好きが虫はタダシくんの』

言わずと知れた名作である。 感想文は幾度となく数多の無名の著者によって書かれたであろうが、同じく無名である私も残しておきたいと思う。 『潮が舞い子が舞い』が陽の青春群像劇であるならば、本作や『空が灰色だから』、『ちーちゃんはちょっと足りない…

高校物理の力学と正射影作用素

高校物理の力学分野で頻出する斜面平行方向とか斜面垂直方向とかが、線形代数の正射影作用素の一部だったことにいまさら気付いた。 正射影作用素は次のように定義される。 つまり、 次元に射影を拡張したものである。 mathtod.online 高校では 2 次元空間し…

放送大学の教科書『自然言語処理』の改訂版と三訂版の比較

はじめに 本項では、放送大学教育振興会出版の黒橋禎夫『自然言語処理』の改訂版(2019年)と三訂版(2023年)を比較する。 自然言語処理の主流であった古典的手法が、ニューラルネットワーク的手法に圧倒されていくさまを見ることができる。 前著では比較的…

ブルーバックス『プログラミング20言語習得法』のサンプルコードをまとめた

講談社ブルーバックスの『プログラミング20言語習得法』(小林健一郎 2014年)に掲載されているサンプルコードをまとめたレポジトリを GitHub で公開した。 プログラミング20言語習得法 (ブルーバックス)作者:小林健一郎講談社Amazon github.com 今から10…

同時実況シリーズ『メディア・コンテンツ論』

ゲーム実況がありうるなら書籍実況もありうるだろう。 はじめに 2016年6月に上梓された、シリーズ「メディアの未来」第6番の岡本 健・遠藤 英樹 編『メディア・コンテンツ論』を同時実況する。 15本の論考が載せられており、それぞれ多様な話題を扱っている…

『美文書作成入門』よりスリムな『LaTeX超入門』を

はじめに ブルーバックスレーベルの 入門書。 2020年に出版され、また奥村晴彦の『[改訂第7版]2εー美文書作成入門』を参考文献に引いているため単なる競合書籍という訳ではない。 に入門する方には新書である本書を『美文書作成入門』より薦めることがで…

笹原宏之『方言漢字』で日本紀行しよう

はじめに 国語学者の笹原宏之と共に全国の方言漢字を探す随筆。 本書は、2013年に角川書店より刊行された『方言漢字』(角川選書)に加筆し、文庫化したものである。 2020年7月に刊行された。 三省堂書店のウェブサイトに300本ほど連載された『漢字の現在』…