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MML と音色の自由

音色の自由――これこそが具体音楽の思想的基盤なのである。この視座から MMLMusic Macro Language)のアーキテクチャ的暴力性を指摘することは容易いであろう。MML の音色は常に工学者=アーキテクチャの設計者の管理の基にある。MML は432種を超える音色を許さない。

ここでユーザー定義波形を反論の道具に持ち出す者がいるかもしれない。しかしそれは大した反論にならない。なぜならば、ユーザはたかだか32種のユーザー定義波形しか注入できないのだから。

すなわち、MML 標準の設計者および MML コンパイラの設計者は、意図的に音色の自由の制限を課すことができる。敷衍して述べるならば、音楽情報処理もまた人文の十八番である情報技術批判を免れえないのだ。