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『美文書作成入門』よりスリムな『LaTeX超入門』を

はじめに

ブルーバックスレーベルの  \LaTeX 入門書。 2020年に出版され、また奥村晴彦の『[改訂第7版] \LaTeX2εー美文書作成入門』を参考文献に引いているため単なる競合書籍という訳ではない。  \LaTeX に入門する方には新書である本書を『美文書作成入門』より薦めることができる。 また『美文書作成入門』を読了した人には痒いところに手が届く本となっている(\subsection{} 内で \verb を展開する方法など)。

ふだん触ることのない Beamer や Tikz を十分解説してくれる(第9-10章)し、 第11章の Sagemath,R,Python コードの TeX ファイルへの埋め込みは、他著やウェブ上にも日本語の情報が少ないため稀少な情報源となっている。

CloudLaTeXOverleaf などクラウド \LaTeX 環境にも一通り触ることができるようになっている。

CTAN パッケージ

本書で紹介される CTAN パッケージ と見出し、頁数を次の表に示す。

見出し パッケージ 頁数
3.6 画像の取り込みと文字列の変形 graphicx 69
4.5 入力をそのまま表示 cprotect 88
4.8 脚註と傍注 fancyvrb 94
4.10.2 記号 amsmathamssymb 99
6.1 ハイパーリンク hyperrefpxjahyper 134
6.2.1 画像の回り込み wrapfig 138
6.2.3 透かしを入れる draftwatermark 142
6.3 ルビと圏点 okumaco または pxrubrica 143
6.4.2 部分的な縦書き plext((u)platex),lltjext(lualatex) 148
7.3.1 索引作成の準備 makeidx 165
8.5.1 表全体の幅指定 tabularx 179
8.5.2 小数点を揃えた表 dcolumn 180
8.5.3 セルに色を付ける colortbl または xcolor 181
8.5.4 縦書きのセル plext 181
9 スライドの作成 beamer 188
9.1 Beamer ファイルのプリアンブル minijsotf 192
10.1.1 描画領域と位置指定 pict2e 209
10.2 高機能な作画法 TikZ/PGF tikz 219
11.2.1 Rコードを埋め込む knitr 246

おわりに

 \LaTeX 初心者は『美文書作成入門』ではなく、250頁強ほどのスリムな本著を買うべきだと思いました。